Web標準の日々 A1 WCAG 2.0: 見えてきたアクセシビリティの新基準

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スライド資料 WCAG2.0のポイント

WCAG2.0: 見えてきたアクセシビリティの新基準
植木 真さん
W3C/WAI が策定作業を進めているWebアクセシビリティの新しいガイドライン『WCAG2.0』。約1年ぶりに今年5月17日にワーキングドラフトの更新がされました。『WCAG 2.0』は、特定技術への非依存、 Testability(検証性)、国際化などをキーコンセプトにしており、JIS X8341-3の今後にも少なからず影響を与えそうです。
このセッションでは、WCAGワーキンググループ "日本代表" として、『WCAG 2.0』が示そうとしている具体的な数値などによるアクセシビリティの新しい基準をご紹介します。

2006年4月に「Last Call WorkingDraft(最終草案)」として発表されたWCAG2.0。 今年2007年5月17日に発表されたものでは「Working Draft」に逆戻りしているのですが、具体的な内容を知らなかったのでこちらのセッションを受講してみることにしました。

WCAG2.0の特徴としては、現在・将来ふくめてあらゆるWeb技術に対応しており、検証性がすぐれている(testable)こと、そしてアクセシビリティを確保する上での基準が明確に書かれているという点があげられます。
各項目については、WCAG1.0では「優先度」として3段階に分かれていた項目も、WCAG2.0では「LevelA」「LevelAA」「LevelAAA」とレベルで分かれています。 これらのレベル付けは優先度というわけではなく、より厳密にアクセシビリティを確保するには「LevelAAA」の項目を守ってください...ということだそうです。

実際、セッション内で紹介された基準の中から「色のコントラスト」と「文字のサイズ」に関する記述をとりあげます。

色のコントラスト
1.4.3(Level AA)
文字の色のコントラストは輝度コントラスト比5:1以上にする(ただし、大きめのサイズの文字や画像の場合は3:1)
1.4.5(Level AAA)
文字の色のコントラストは輝度コントラスト比7:1以上にする(ただし、大きめのサイズの文字や画像の場合は5:1)

上記の事項を見ていただけるとレベルの感覚がわかるのではないでしょうか?より厳密にアクセシブルなサイトを構築しようとするならば、「LevelAAA」の事項を遵守しよう...となるわけです。

ProjectDDのエントリー「JIS X8341-3 5.5c/5.6c 背景色と前景色のコントラストを調べるツール」でも軽く触れましたが、WCAG2.0では「輝度コントラスト比」という基準が設けられております。輝度コントラスト比は複雑な計算式で算出されるのですが、インフォアクシアが提供するカラー・コントラストアナライザーの近日公開最新版にて輝度コントラスト比を測定機能が実装されるそうですので、それを使って輝度コントラスト比を計測してみるのがいいと思います。

また、文中に出てくる「大きめのサイズ(Larger-scale)」とは具体的にnormalで18pt以上、boldで14pt以上(at least 18 point or 14 point bold)を示すそうです。

文字のサイズ
1.4.4(Level AA)
支援技術を使わずに、文字のサイズを200%~50%までリサイズを可能にする
1.4.7(Level AAA)
支援技術を使わずに横スクロールを発生させることなく、文字のサイズを200%~50%までリサイズを可能にする

文字は可変にさせたほうが良いというものの、ではどれだけ大きくした状態のことまで考慮するか悩ましかったのですが、「200%~50%」という明確な基準が出されましたので、大変目安になると思います。
ちなみに「50%」については視野が限られているユーザーを考慮してのことだそうです。ただし、漢字など日本語の一部は文字が潰れてしまいますので、もしかすると見直されるかもしれないとのことでした。

ちなみに、この場合の「支援技術」にはブラウザに標準で搭載されている「拡大」「縮小」は含まれないそうです。

そのほかにもセッション中では「自動的に音を出す秒数の制限(1.4.6)」「背景音と前景音の差(1.4.6)」「入力などに時間制限をもうける際の時間(2.2.1)」「点滅するコンテンツの時間(2.2.2)」「点滅するコンテンツの周期(2.3.1)」「コンテンツを見つける方法(2.4.5)」「文章の難易度(3.1.5)」などをあげていただきました。

今後のスケジュールとして、2007年9月に2回目のLast Call WorkingDraft(最終草案)が出され、最速で6ヶ月で勧告までこぎつけるのではないかということでした。JIS X 8341-3についてのセッションに出席していなかったのですが、JISは5年ごとの見直しが原則ですので再来年(2009年)頃改訂されるのでしょうか?

今回のWCAG2.0で実装する上での明確な基準が設けられましたので、制作者にとってWUAG2.0はわかりやすい指針となると思います。WCAG2.0を理解しておけば、自然なカタチでアクセシブルなサイトを構築できるようになるのではないでしょうか?

【関連エントリー】Web標準の日々で受講したセッションのレポート

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プロフィール

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林 大輔
旅を売るWebデザイナー / ジャム男子
楽天トラベルでWebデザイナーとして働いています。ごくたまに個人でもWebサイト作ってます。趣味ではジャムをつくる自称・ジャム男子。
著書「FireworksレッスンブックCS6対応」「ガレリアCSS

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