- Contextual Design 経験デザインへの人類学的アプローチ
- 棚橋 弘季さん
- 人はそれぞれ自分の生活の文脈の中で生きています。同じモノに触れる経験も異なる文脈では全く違うものになります。そのため人類学者は異文化の人々を理解するためにその生活の場に入り込み根気強い観察を行います。Contextual Designはまさにエクスペリエンス.デザインへの人類学的アプローチ。今回はContextual Designを中心に、人々の経験にフォーカスしたデザイン手法を紹介します。
お恥ずかしながら「ユーザー・エクスペリエンス」をはじめて聞いた私。知らないことは知っておこう!ということでこちらのセッションを受講しました。
人にとってよい経験をデザインするにはどうしたら良いかを、Webに絞ることなく(というかほとんどWebの話はナシで)お話されていました。そしてセッションタイトルにもなっている「コンテキスト(Context)」が紹介されます。
ミツエーリンクス社のインフォメーションアーキテクチャ関連用語集によると、コンテキストとは文脈、関連性のことを示すそうです。セッションではダ・ヴィンチの「受胎告知」を例に挙げ、作品の解説を特にしなかった場合、視線は「受胎告知」に描かれる人物の顔に集中するのに対し、「背景に森が見える」など作品の解説を交えると、視線は背景の森に注がれるとおっしゃっていました。コンテキストが異なると、同じこと・ものでも別の理解になるとのことでした。
これをデザイン手法として落とし込んでいったのが「Contextual Design」で、人の行動にフォーカスしたデザイン手法のことをさします。観察して、行動のモデリングを行い、(リ)デザインするということ。
例として挙げていただいたのが深澤直人さんのワークショップでの観察例。ゼリーを食べるところを観察するのですが、全員がスプーンを持って、蓋を開け、口に運ぶという行動をとります。問題点をヒヤリングすると「蓋を開けるときに中身が飛び散らないように慎重に開けた」「テーブルが汚れないように蓋を逆さまにして置いた」というようなことがわかります。そして行動を観察することで見つかった問題点を解決するために、「開けやすい蓋を作ろう」「はがした蓋をテーブルに置くときもクルっとまるまらないようにしよう」というデザインに落とし込むことができます。
セッション内では、観察から得られた個別シナリオをベースにユーザーの行動を構造的に分析するために用いる5つのワークモデルや、個々のユーザーのデータを統合していく段階で用いるペルソナ/シナリオ法についても触れていました。
セッション自体は正直難しかった...という印象でしたが、ところどころで出てくる事例が大変わかりやすく、自分の中で「Contextual Designって、なんとなくこんな感じなのだろうな」というものが出来上がったような気がしています。ペルソナ/シナリオ法については遠藤さんのセッション「事例に学ぶ! 成果を上げるユーザ中心ウェブサイト戦略」でも触れられていたので、もう少し深く理解しようと思います。そこから、じゃぁ実際の仕事でどのように取り入れていくべきかを考えていきたいと思っています。
なお、スライド資料は棚橋弘季さんのブログ・DESIGN IT! w/LOVEのエントリー「Web標準の日々、自分のセッション終了しました(プレゼン資料公開)。」で公開されています。
- 【関連エントリー】Web標準の日々で受講したセッションのレポート
-
- アクセシビリティ/ユーザビリティ「WCAG 2.0:見えてきたアクセシビリティの新基準/植木 真さん」(7月17日レポート公開)
- SEO/SEM「SEO・SMOを制するWebライティング/住 太陽さん」(7月18日レポート公開)
- JavaScript/Ajax/DOM「jsライブラリで実装する効率的なWeb制作/西畑 一馬さん」(7月19日レポート公開)
- Webディレクション「Web標準とIA/坂本 貴史さん」(7月20日レポート公開)
- アクセシビリティ/ユーザビリティ「事例に学ぶ!成果を上げるユーザ中心ウェブサイト戦略/遠藤 直紀さん」(7月21日レポート公開)
- XHTML+CSS「ブラウザ表示モード解説: 傾向と対策/上ノ郷谷 太一さん」(7月22日レポート公開)
- ユーザー・エクスペリエンス「Contextual Design 経験デザインへの人類学的アプローチ/棚橋 弘季さん」(7月23日レポート公開)
- Webディレクション「情報アーキテクチャ入門/長谷川 敦士さん」(7月24日レポート公開)


セッションの感想、ありがとうございます。
ちなみに例のダ・ヴィンチのアイトラッキングに関しては、より詳しい説明がこちらにあります。
http://markezine.jp/a/article/aid/1354.aspx
参照ください。
>tanahashiさん
コメント、詳細情報いただきましてありがとうございます。
当エントリー内にリンク追加させていただきました。
セッション内で学んだことが仕事で活かせる様、勉強したいと思います。